harbor's diary

プレイしたゲームのこととか、その他いろいろ

ドミニオンにおける強キャラ弱キャラの考え方

いつの間にか強キャラ厨と化してしまった件

どうも、ドミニオンについては約2年間ほどエアプ状態のみなとです。
自分の場合、ドミニオンをやるのは実際の紙でのオフラインの遊び方だったので、コロナ禍においては完全に機会を失っていましたね。
久々にドミニオン記事を書くことにしましたが、そんな中なので、個別のカード評価や個別の戦術の話(ミクロ面)は他の方へ譲ることにして、僕は一般論というかゲーム全体を見渡したときのお話(マクロ面)を書いていこうと思います。

いきなり質問を投げかけますが、あなたは強キャラというものはお好きでしょうか?
主に格ゲー界隈で話題にあがることの多い、強キャラ弱キャラ論争をテーマにしてみます。
ゲーマーには、強キャラの性能を自分で使って引き出すのが好きな人か、相手に使われる強キャラを攻略して打ち負かした時の快感を得たい人か、あるいは勝ち負けはあまり気にしないが使ってるキャラ自体が単純に好きな人などのタイプがいるかと思います。
これはどれが良いか、ということについては今回考えません。
なぜなら、このどれもがゲームを楽しもうと思って選択した結果であると思うので、楽しんでいるのであればいいと思うんです。
例えば僕のパターンを挙げると、昔の僕は間違いなく、弱キャラで強キャラに勝つのが楽しい、のスタンスのゲーマーでした。
たしか、強いキャラ(≒流行りのキャラ)は使わないことでアイデンティティを持つぞ、といった思考だった覚えがあります。
ところが、ある頃から現在に至るまで、強キャラを使って楽しい、のスタンスにゲーマーとして僕は変わってしまったと感じます。
いや、ほんとに正反対の心変わりですよ。
闇堕ちモノや寝取られモノが好きで、心情の変化に敏感なオタクではあるけど、まさか自分までそんなシチュは味わなくてもいいわけで(???)
うーん、じゃ、どこでいつ何がきっかけだったんだ…、って過去の自分のゲーム経歴を一生懸命遡って考えてみたんですが、どうもドミニオンおよびボードゲームを触り始めた頃と一致しているような気がしているんです。
ドミニオンによってみなとさんは強キャラ厨になってしまった説が出てきました。

強キャラ厨という言葉がキャッチーなので、そういう言葉を選んでしまったのですが、自分が好きになったのはゲームにおける正攻法、あるいは王道の勝ち方です。
ハイスタンダードなキャラを使ってゲームのシステムと正しく向き合って遊びたいという気持ちが芽生えやすいってところですかね。
マジックザギャザリングが分かる方は、僕がミッドレンジの王様であるジャンドを使っているのがまさしくそういった理由に由来するというとイメージしやすいかと思います。
強キャラというのは選択肢を多く用意されているキャラであることが多いです。
ゲームそのものへの理解を深めれば深めるほど、選択肢の引き出しの多さに気づくこととなり、キャラをより強く使えていくことでしょう。
プレイヤーの成長がそのままにキャラの強さへと反映されやすく、努力が結果に帰ってくる実感を得やすいって部分を僕は一番重視しています。

ただ、逆に言うと、選択肢を引き出せないプレイヤーが使う強キャラは弱い、という罠も存在しているんです。
強キャラがそのゲームで流行っているとして、強キャラの情報は色んなところで手に入れることができ、実戦で対面になる機会は多くて、対戦相手にキャラ対策を多めに積まれていることは想像に難くないでしょう。
メタが向くヘイトの対象ということです。
なので、ある程度キャラバランスが取れているゲームにおいて、という注釈は付け加えますが、強キャラと聞いたので適当に使ってみました、では、使い始めはすぐに勝つというのは困難なのではないでしょうか?
また、とあるキャラAの性能のポテンシャルを100、キャラBのポテンシャルを80としましょう。
しかし、Aを使うのは難しいので、あるプレイヤーが引き出せる練度が60%、Bは使いやすくはあるので練度80%とします。
すると、Aを使ったときのキャラの強さは60なのに対して、Bを使ったら64のパフォーマンスを得ることができて、本来ならキャラランクの低いBを使ったほうが強いという結果になるといったことが起きます。
こうして、一般的に弱キャラって言われてしまうキャラであっても、ちゃんとゲームに勝つという目的のもとで、弱キャラを使うということは立派に肯定されると思うのです。
便宜的に弱キャラと呼んでいますが、特定の間合いや特定の条件下では強い、という部分を持っているはずです。
弱キャラが輝くフィールドへ強キャラを引きずり込んでしまえば、キャラによっては強さ関係が逆転してしまうことが有り得ます。
なので、職人気質のあるプレイヤーがそのキャラの特性を活かすべく最適にプレイを順応させていけば、弱キャラといえど大会実績などを積み上げることは可能なんだと思います。
キャラ対策もあまりされておらず、分からん殺しや壊しのプレイが通りやすいという点もいくらかありそうです。

ドミニオンにこれらの話を当てはめてみる

では、ドミニオンというゲームについてはどうかというと、ドミニオンサプライを見てその場その場の強キャラ(強デッキ)が何かを見出して、自分でモノにするゲームなんじゃないかと思います。
みなとさんが調教されてしまったのは、そんなゲームを何千回とやってるうちに強キャラを使うことに躊躇いを持たなくなってしまったんでしょう。
ドミニオンが、もうちょっとキャラキャラしてて、キャラ愛に引っ張られてしまう感じのゲームをしてたなら感性も違ってたのですが、さすがに鍛冶屋や木こりなどを見てそれぞれに別々のキャラ愛感情を持つ性癖は持ってないですからねえ。
東方祀爭録であれば、蓮子ちゃん可愛い〜って言って、どんなサプライ出てきても蓮子ちゃんを集めて買ってるプレイヤーから卒業できてなかったかもしれません。

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(ま、蓮子ちゃんそこそこ強いんですけど…)

ドミニオンの面白いところは、サプライによって強デッキが常に一定ではないところです。
強カードではありませんよ、強デッキという表現を使いました。
ここを突っ込みだすと今回の本筋とはすこしズレそうなので多くは書かないですが、初手を考察する時などゲームの全体観を考える場面では、カード単体の評価よりもデッキという単位で思考を巡らせるのがいいと思います。
ともあれ、サプライ変われば、昨日の強デッキが今日の弱デッキになっていることが当然に起きます。
民兵ステロで圧勝したゲームを体験したあと、次のゲームでまた民兵がサプライにあったので使っていたら、同時に存在した漁村書庫コンボに為す術もなく敗北したなど。
ドミニオンが難しいと思う点の一つです。
サプライを見て、存在しうるプレイアブルデッキがその場にどれだけあるかを考えて脳内でデッキランクを作成する、こればかりは想像力の勝負で、ドミニオンというゲームの経験値を積みまくるしか、なかなか解決手段はないかもしれません。
様々なゲームから考えることのできる一般論としては、強デッキというものは対応力と支配力を兼ね揃えたものが多いです。
相手のデッキの戦術に応じて、対策となる手段を有している。
そして、自分からの押し付けもできて、マウントを取れる手段を持っている。
どちらか一方しかできないものは、強いことは強いが最上位には一歩届かない印象を持ちます。
与えられたサプライにおけるデッキランクを作成して、見つけたSランクデッキを使って勝利する。
これが王道の勝ち方です。

弱キャラを握らされるドミニオン

ここからは、ドミニオンがそれで片付く単純なゲームでなく、やべーゲームであるということに踏み込んでいきます。
ドミニオンは、弱キャラを使わねばならない、あるいは、弱キャラを使ったほうが勝てるという状況が生まれるゲームだと思っています。
強キャラを使っていたと思ったら、デッキの周り運が悪くて、いつの間にか完全に弱キャラになってしまっていたということもありますよね。
これが日常茶飯事だというのは全プレイヤーの納得するところだと思っています。
また、ゲーム開始時にすらも、デッキ選択において運のファクターがいきなり絡んできます。
例えば、3-4と2-5の初手格差です。

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これはドミニオン日本選手権2019 本戦1回戦サプライで、かなりの名サプライだと思っています

サプライに魔女がある場のような時、初手で5金を出したプレイヤーは、魔女を素直に買うのが多くの場合で正解です。
もし、そのプレイヤーが初手を見るまでは4金帯のカードを買ってデッキを構築したかったとしても、初手5金だったという理由で魔女と、ある意味、これは運命にデッキ選択を握らされているかのような感覚です。
この場で初手は初手書庫や初手衛兵などもあるので、魔女を選択するという行為は実力が関わってくると思いますが。
このようなサプライでは初手魔女から入るデッキは紛れもなくSランクデッキです。
対戦相手にマウントを取った状態でゲームを進めることができ、進行次第で庭園方面にも圧縮方面にも進むことができる自由度の高さを持っています。
そんな初手魔女プレイヤーを見た3-4勢は、初手魔女に比べれば弱デッキを握らざるを得ない状況になっています。
ただ、弱デッキを使うからと言って勝てないわけではありません。
前述した弱キャラの勝ち方に再度触れますと、特定の条件下に持ち込んで強キャラに勝てるフィールド作りを意識するということです。
ヘイト値を稼いだ初手魔女デッキのメタとして、対策のため役人や後追いの魔女を打ち込むなどが考えられるかと思います。
また、勝利軸を庭園や3山にずらして同じ土俵で勝負をしないようにします。
そうしていて初手魔女デッキの周りがちょっとでも悪ければ、3-4勢のなかの誰かが勝利をもぎ取る目も出てくるかもしれません。
庭園デッキは決して自分から主導権を取りに行くデッキでもないし、周囲の状況に左右されるという意味で弱デッキという表現をしているのですが、展開がハマってしまえば勝つポテンシャルは間違いなくあります。

ドミニオンはやはり手番ゲー

次にドミニオンにおいてどうしようもない部分、手番の問題です。
サプライに明確な強デッキがあるとして、1番手〜4番手が全員同じ手を取っていった時、不利を被るのは下位手番の方々でしょう。
使っているデッキは同じだったのに、単純な手番差の部分で負けることになってしまいそうです。
あるいは、村の枚数が3枚-3枚-2枚-2枚というように下位番手に配られるデッキパーツが少なく、同じデッキを使おうとしたのに下位番手のみ弱いデッキという状態になることがあります。
当たり前ですが3番手や4番手のプレイヤーは、自分は不利なポジションにいるという自覚を持つべきです。
そのような状況で、下位番手が考えるべき選択肢は大きく分けて3つあるかなと思います。
①:対戦相手が不運なめぐりをすることに賭けて、自分はそのままのプレイを貫き通す。
②:デッキの構築の根本は変えないが、上振れ期待の勝負手を取る。
③:デッキ替えを検討する。
この中で推奨したいのは②か③です。
ターミナルアクションが被るかもしれないリスクを受け入れても、うまくバラけたときのリターンが大きいというのならば、アクション過多な購入をしてもいいかもしれません。
または初手を弱くしてでも、後々必要になるパーツ集めを最優先して実行するなど。
こちらは安定手を取っていればいい上位手番よりかは、下位手番のプレイヤーが取るべきプレイングです。
つまり、②はデッキを同じくしても勝負プレイングでの逆転を目指すと捉えてください。
③のほうは、デッキ自体を替えて、事故上等でも勝負デッキを握って逆転を図るという考えです。
最初からパーツ取り合戦に負けそうな4番手であれば、特定のカードが揃うと大きな効果を得ることのできるロマンコンボや、特殊勝利点デッキで他の人とは違う基準での得点行動を狙っていくのは悪くはないのではないでしょうか。
強デッキ同士でぶつかってミラーマッチとなっていると、先にマウントを取ることのできた人が勝ちやすく逆転は困難になってしまう面白くのない盤面になりますが、強デッキ VS 弱デッキあるいはローリスクローリターン VS ハイリスクハイリターンの構図になれば紛れが起きやすいということは覚えておいて欲しいです。

なお、①について好まれるのは、1位はちょっと無理そうだけど、2位か3位に終わってもなにか価値がある場合です。
強デッキを握って、プレイングも事故はなるべくしたくないという気持ちの安定プレイなら、4位回避だけなら角度高いのではないでしょうか。
大会やリーグの勝利点ポイント式の勝負などでは、2位や3位で次に繋げると割り切ってしまうのもアリです。

試合の椅子に座った時点の格差

そして触れておきたいのは、そもそものプレイヤーの実力間のバランスの問題です。
もう年がら年中オンラインにこもって熱帯を擦り続けている猛者もいれば、たまに参加するボドゲ会でやるだけの方もいますから、プレイヤーの実力はピンキリです。
レーティングが表示されているドミニオンオンラインの試合ですと、自分が格上なのか挑戦者なのか分かりやすいのですが。
オフラインでやる時でも、自分がどれくらいドミニオン上手いだろうかって、ぼんやりとした実力の把握はやっておいたほうがいいです。
僕とかはね、ドミニオン日本選手権で3回もトップ8に入ることができた数少ない例だと思ってますから、日本でも10番目以内にはランクインするプレイヤーだろうという自覚はあったんです。
(2年前までは…)
なので、基本的にはドミニオンをプレイするときは強者側だと思ってプレイを始めます
そのような場合は積極的に王道で勝つ方法を模索するのが正しいと思います。
ミラーマッチをしたとして、構築力やプレイングでねじ伏せようという気概を持つべきです。

逆に挑戦者の立場で、格上に挑戦している際は、ミラーマッチは可能ならなるべく避けたいです。
これはマジックザギャザリングのドラフトでの受け売りなのですが、レアパワーがない弱いデッキを使っている時は、前のめりなアグロデッキを使って、ゲームを短期決着させるデッキを使うべきという指針があります。
この理論はドミニオンでも通じると考えられ、自分がプレイヤーとして弱い、あるいは弱デッキを使ってしまっていることを自覚している時は、なにかしらゲームスピードを高める試合展開に乗っかるのがいいと思います。
ドミニオンはデッキが強くなっていくデッキ構築の段階の部分も、リアルタイムでゲーム内で進行しますから、強デッキが完全体になりきる前にゲームを終わらせることが可能かもしれません。
ゲームが長引けば長引くほど、上級者とのプレイングの差が生まれる場面が塵も積もって重なっていき、最終的に敗北という形に終わってしまうと思います。

デッキの練度との付き合い方の問題もあると思います。
村と鍛冶屋と改築を使った引き切りデッキがどう見てもSランクの強デッキだと脳内で分かったとしても、回し切るのはプレイ難易度は高いです。
それに比べれば、単純に鍛冶屋ステロを回す方がプレイ難易度は低いので、理論値でなく実戦値を見て鍛冶屋ステロを回すべきと判断するプレイヤーがいたら、それはそれで正解です。
この記事の上の方で書いた、60のパフォーマンスのキャラと64のパフォーマンスのキャラの話を思い浮かべて欲しいです。
おいおい練習して、デッキ構築に自信が付いてきた頃に、強デッキを使うようにしていけばいいです。

まとめ

言ってることがとっ散らかってきたので、最後にこの記事の言いたいことをまとめていきます。
ドミニオンは支配力と対応力を兼ね揃えたSランクデッキを見つけて、基本的にはそれを使うべきです。
しかし、周り運・手番・プレイヤーの実力などの影響で、強者と弱者が生まれることになります。
強者はそのまま王道を貫いて、弱者ならば邪道に走るのが合理的です。
弱者側は強者の取ってくる勝利手段と軸をずらした戦い方を取ったり、早期決着でゲームが強者のフィールドになる前に決着が着くようにしたりして、勝利を目指します。
それを踏まえて、強者側の視点としては、事故を減らして安定手を進めつつ、相手の絡め手を躱わして捌く意識をしていきたいです。
強キャラのことを対応力のあるキャラだと僕は思っていますが、それと同じで、強プレイヤーというのも周囲の状況に合わせて変化しきることのできるプレイヤーだと思っています。
これらを意識して、強者vs弱者の構図のゲームを、どちらの立場に立たされたとしても楽しんでみたいですね。